アニメ演出

藤原佳幸監督の演出・作家性について

『プラスティック・メモリーズ』13話。絵コンテ演出 藤原佳幸。握りあう手。肩を寄せ合う二人をバックショットで映す情感の厚さ。そんな二人をまるで祝福するように昇る陽の光は、まさに藤原佳幸監督らしい “時間と空間” や “キャラクターへの寄り添い方” を…

『このはな綺譚』 5話の距離感、演出について

機織りの少女と柚の邂逅。そのファーストシーンに用いられた俯瞰のカットがとても印象的でした。小屋梁を挟み二人を描くことで、おそらくは関係性の断絶、もしくはその距離感の遠さを描いていたのだと思います。話としても、食事を摂らず機織りを続ける少女…

『夏 ここなの8/31』の広角・魚眼レンズと狭さについて

『ヤマノススメ おもいでプレゼント』present1はここなとお母さんの話でしたが、まず驚いたのは広角、魚眼レンズで映したような画面設計の多さでした。シリーズの中でも広角を意識していると思われるカットはあったと思いますが、一つの話数の中でここまで…

『メイドインアビス』の縦の動き・レイアウトについて

『メイドインアビス』はアビスと呼ばれる縦向きの穴の底に向かい冒険をする話ですが、こういった崖・絶壁を下っていく芝居へ贅沢にカットを使う、またそれを縦方向の俯瞰で撮ることに拘る、みたいなポイントは本作の世界観やその奥行きの深さを伝えることに…

『エロマンガ先生』8話のフレーム内フレームと演出について

部屋から出ることが長い間出来なかった紗霧。親族との別れと心の傷が大きな要因であることは間違いないのだと思いますが、おそらく彼女は兄であるマサムネと向き合い、相手の気持ちを知るのが怖かったのだとも思います。自分に芽生えた恋心を受けとめて貰え…

石浜真史さんの映像と演出について

石浜さんのオープニングやエンディングの見せ方・演出に関してなにかしら書いている方は多いと思いますが、自分の中でも定期的に印象をアップデートしておきたい気持ちが強かったので今回備忘録も兼ねて書くことにしました。特に今期では『GRANBLUE FANTASY …

『小林さんちのメイドラゴン』9話の演出について

“この登場人物たちは今なにを見て、なにを想っているのだろう”。それは、私自身がアニメを視聴する際に強く考え、知りたいと願う部分の一つでもあるわけですが、そうした疑問に対する一つの応えをこの作品は鮮明なイメージを持って、いつも誠実に応えてくれ…

『小林さんちのメイドラゴン』8話の演出について

前半のお弁当対決パートが『ワイルド・ファイア』だったとか、手の芝居から山田尚子さんらしさが溢れてたとかビジュアル的には色々あると思うんですが、足元にカメラを寄せていくのはなんか直近の『聲の形』を思い出したりして良かったなと感じました。もち…

『リトルウィッチアカデミア』7話のカメラワークについて

Bパート終盤。アッコの退学を巡る一悶着を描いたシーンですが、この辺りのカメラワークに強い物語性が内包してあったのが凄く良かったです。基本、最初は退学の可否を決める校長先生とアッコの間に想定線が置かれるていたと思うのですが、会話が進むにつれ会…

『小林さんちのメイドラゴン』6話の演出と『MUNTO』のこと

アバンのカットで思い出したのは『無彩限のファントム・ワールド』6話でしたが、どちらのカットにも根源的には『MUNTO』という作品の影を大きく感じてしまいます。それも本話のコンテ演出を担当されたのは同作品の監督をされた木上益治さん。正直、繋げて語…

『小林さんちのメイドラゴン』5話の演出について

光源側にトールが立っているというのが非常に示唆的だったカット。周囲から「変わった」と言われる小林さんを “変えている” のは一体誰なのかということが非常にセンシティブに描かれていたと思います。陰影を意識した画面の構成はこれまでも何度かありまし…

『小林さんちのメイドラゴン』2話の演出について

誰がなにを見つめていて、そこにどんな想いが託されているのか。そんな数多くの情報をしっかり汲み取ってくれる京都アニメーションの作劇はだからこそ人間味に溢れ、感情的なフィルムへと昇華されていくのでしょう。トールの手を小林さんが引いていくシーク…

『小林さんちのメイドラゴン』1話の演出と武本康弘さんについて

ドラゴンの少女トールが小林さんの家に訪問してからの一連のシークエンス。上手側に小林さんを置くことで物語は彼女を主体に据えるところから始まります。つまりトールを自分の家で雇うかどうかの選択によってこの物語は始まっていくといことです。逆にトー…

『響け!ユーフォニアム2』10話 心の屋根とカメラワーク、そして零れ出す感情の光

あすか先輩と久美子のやり取りを描いたBパート。本編全てが素晴らしかった今回の挿話でしたが、ことここのシーンに関しては観ているだけで震えが止まらず、久美子が泣き出すのと同じくらいから私も堰を切ったように泣いてしまいました。もちろん、力の込もる…

『舟を編む』6話の芝居と共振

序盤からのエモーショナルなカット。この辺りのシーンで既に身体は前のめり気味になっていたんですが、以降描かれる各登人物たちの芝居、そこに込められていたであろう様々な感情からは、動きの繊細さや動かすことへの熱意といった幾つもの感動を強く感じる…

『響け!ユーフォニアム2』 4話 吉川優子という希望、その陽のあたる向こう側へ

鎧塚みぞれ、傘木希美の行き違い描いた二人の物語。紆余曲折を経て辿り着いた場所は、美しいとしか形容出来ない安堵の幕切れをもって私に強い感動と喜びを与えてくれたように思います。 しかし、この物語は二人によって解決したわけでは決してありませんでし…

『海がきこえる』の寡黙さと微熱

夏の陽射し。流れゆく景色。淡々と進むフィルム。熱い恋愛ものとは程遠いまでに感情的になることを抑えつけるこの映像は、まるでそよ風のように心地良い読後感を与えてくれました。 それこそ主人公である杜崎が本作において激情にかられていたのはどれも怒り…

『ToHeart』1話 冒頭7分54秒の情景

ヒロインであるあかりの回想から物語が始まり、オープニングを経て、モノローグから校舎内のカットへと切り替わるまでの流れが本当に圧巻で、久々に一話から肌がヒリつく感覚を覚えました。それこそ特別に派手なアクションや尖った演出があるわけでは決して…

『けいおん!』11話にみる高雄統子演出について

約5年振りに観返した『けいおん!』11話。澪と律が喧嘩する話としてもかなり有名な本話ですが、その妙にリアルで冷たい空気を感じさせるこの回も私自身の中では大分トラウマとして記憶されていたためか、当時から今一歩「観直そう」という気持ちには至れてい…

『ARIA The ORIGINATION』4話は表情で語る

絵コンテ演出原画に井上英紀。『ARIA』シリーズ独特の空気感を大切にしつつ丁寧に描かれた今話における表情づけは、あらゆる賞賛の言葉が遥か彼方に霞んでしまう程の衝撃を私に与えてくれました。特に灯里が初対面の3人と一人ずつ会話を交わしていくシーンが…

『ジブリールシリーズ』から『猫物語』への系譜

昨晩放送された『猫物語(白)』のOPが素晴らしかったわけですが、そのディレクターを担当していたのがなんとURAさん。美少女ゲーム・エロゲをそれなりに嗜んでいる方なら多くの人がその手によって手掛けられたデモムービーを視聴したことがあるのではないかと…