テレビアニメED10選 2014

前回の記事に引き続き、今回はED10選となります。放映季順、他順不同、他意はなし。敬称略。視聴した作品からのみの選出で、選出基準はOPの方と同じく 「とにかく好きなED」 です。



未確認で進行形 / まっしろわーるど

三峰真白のオンステージ。喜怒哀楽の表情が豊かな彼女だからこそ創り上げることの出来た舞台は、その全身から楽しさを滲ませてくれるまさにエンターテイナーなEDムービーだったなぁと。キャラクターがインフレ化することで映像のテンションが上がるのも良いですね。真白の歌声も聴いている内に癖になる感じで堪らないです。それでも最後は彼女の表情を正面から切り取ってみせるのが本当に誠実で、この作品らしいなと思います。



魔法戦争 / Born to be

ヤマノススメ』 のようなポップな映像も作れば、気を抜いているとこんなにも格好良い映像だって叩き付けてくるのだから石浜さんは本当に凄い。アウトラインを排除することで現出する透明感。なにかもがスタイリッシュであり、繊細に描き込まれたパーツと流麗に流された一筆の力強さが見事にマッチングしています。カメラワークも抜群でラストの夕景のシーンなんかは余りの格好良さにクラクラしてしまいました。本当にキレキレですね。素晴らしいです。



銀の匙 Silver Spoon / オトノナルホウヘ→

一枚絵を音にハメながら展開していくだけでこんなにも気持ち良い。本作の物語を凝縮したような映像の構成に “これまで” と “これから” を見据えたくなる辺りがこのEDの素晴らしさ足る所以かなと思います。また、中村亮介×細居美恵子の黄金タッグはどんな作品でも光り輝くのだなと改めて思い知らされた感じもありつつ。中村監督はとてもよく楽曲を聴き込んでいるイメージがありますね。「ほい!」のくだりが凄く好きです。



キャプテン・アース / アメジスト

零れ落ちる水滴がそのまま人の形を成し、星となって宇宙 (そら) に飛び立つ構成は、本編を踏まえた上で観るととても心に響くワンシークエンス。感情と実体の帰還。沈んだものを打ち上げる彼らの可能性に掛けた映像が凄く眩しいです。寄り添う四人の意思がアースエンジンの装甲を光り輝かせる。そこにこそ本編のコンセプトは込められていたように思います。茅野愛衣の透き通るような歌声も素敵ですね。浄化されます。



ノーゲーム・ノーライフ / オラシオン

茅野愛衣のクリスタルボイス第2幕。その弱々しくも切実な想いが託されているかのような歌声からは、白の想いが鮮明として現出してくるようで素敵です。彩度の低いモノクロ気味の映像が兄との邂逅を果たすことで極彩色に色づくくだりはまさに 『ノーゲーム・ノーライフ』 という作品を象徴していたように思います。まただからこそ活きるのはノイズの走る8話ED。クリスタルボイスを傷つけるジャミングはまさしく彼女の心からの叫びであったように感じられます。最初観た時はテレビがぶっ壊れたのかと思いました。

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普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。 / 未来少女たち

演出・コンテ・作監を豆塚隆が兼任。スカートが揺れるとこや手の動き、奈々子の一挙手一投足がとても可愛らしくて好きなEDです。また氏の携わられてる作品を追っていけば 『パパのいうことを聞きなさい! 』 のEDにも辿り着くのだからまさしく膝を叩く想い。三人で走り出すメルヘンな感じ、色トレスの塩梅などはあの作品のEDの系譜だよなぁなんて考えるのもまた一興かなと。景色が広がっていく瞬間の 「バァッ」 て感じとか、ドンピシャですね。また、走り出す四人の姿に信頼を感じるまでが 『ろこどる』 の真骨頂。

ローカルアイドルの枠からは決して出ていかない彼女たちではあるけれど、私たち視聴者から観ればもう既に彼女たちがメジャーな存在であることを思い知らされる映像でもあるなと感じます。



マンガ家さんとアシスタントさんと / Spica.

本編ではあれだけふざけたことをやっておいて、この落差たるや。寡黙でいて、清く正しい映像にはもう酔いしれるばかりでした。一人一人に対し割り当てられたカットにはどこか遠くを見つめるようなアンニュイさが込められており、だからこそふとした瞬間に各々のアナザーストーリーなんかを想像させられてしまう辺りには、私自身すっかりこのEDにやられてしまっているなと痛感します。StylipSが歌う 『Spica.』 の浄化ソングっぷりには肌がヒリつくばかり。合唱曲っぽく歌い上げられた歌声の重なり方に心が震えます。フルサイズで聴くとゴスペルぽかったり、ポップスだったり。まぁいわゆる名曲ですね。



ソード・アート・オンライン2 / Startear

詩乃とシノンを繋ぐ架け橋。マイセルフな心象風景は観ているだけでファントム・バレット編を彷彿とさせる儚さと強さに満ち溢れていたように思います。触れれば壊れてしまいそうなぐらい繊細な線と色彩の調和。けれど二人が手を取り合えば “彼女” は何処までだってきっと行けるのだろうと思える辺りにこの映像に込められた優しさを強く感じます。春奈るなの歌声も映像にとてもマッチしていて素晴らしいですね。こういうEDにはまず間違いなく抗えないといった面持ち。



天体のメソッド / 星屑のインターリュード

重力感じる作画から感じない作画までの振り幅の広さというか、素晴らしいグラビティコントロールだなとただただ感嘆するばかりの江畑諒真プレゼンツ至極の作画表現。“過去の私たち” が “今の私たち” を結び付けるストーリーテリングも本編と同期していて素晴らしく、もはや好きなポイントしかないその完成度にとても感動させられてしまいました。一番衝撃を受けたのは、湊太が階段を降りてきて重心を右足から左足に映すところ。一番お気に入りなのは、湊太がお尻をパンパンと二回叩くところです。



グリザイアの果実 / あなたの愛した世界

ななかまいのSD原画を踏襲したであろう可愛らしいキャラクターたちがURAの手腕により画面の中を縦横無尽に駆け回る、まさに総力戦といった感じのEDムービー。モチーフがまた別のモチーフへと形を変えていく様はまさに “らしいな” といった塩梅で、こちらもまた素敵な映像になっていたのではないかなと思います。各ヒロインの物語を踏まえた伏線を張っているなどにくい演出もありつつ、まぁ少しはその辺り原作ファンとしての色眼鏡も掛かっているのかなとは思います。みんなが明るく楽しく過ごせる世界。これがあなたの愛した世界。真っ赤に実る果実にきっとこの物語の夢は託されているのでしょう。





というわけで、以上が2014年度テレビアニメEDの10選作品となります。OPに引き続きこちらもすんなりと決まった感じがしています。他にも素敵なEDはたくさんありましたが、なんというかこういう選出になる辺り自分の好みって結構偏ってるのかなぁなんて思えたのは今年初の収穫かも知れません。というわけで、今年も一年。本当に素敵な映像体験をありがとうございました。関わった多くのクリエイターの皆さんに心から感謝の想いを込めて。