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『機動警察パトレイバーアーリーデイズ』 演出メモと備忘録

アニメ雑感 アニメ演出

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特車二課隊長の後藤さんが喋り終えてから南雲さんが顎をくいと上げ「私は何も見なかったし聞かなかったわよ」と言うまでの間尺の遣い方。全体的にカメラはfixで撮られている場面が多い印象でしたが、こういった何気ない会話やある程度の状況把握として語られるセリフも長回しで撮られることが多かったように思います。

中々こういうことは出来ないというか、こういう間を作らず別のカットへと繋げていく作品も多いなかにあって、敢えて耐え忍ぶようにカメラを動かさない美学というか。まるで会話の途中にふと訪れる沈黙にこそカメラは向けられるべきなのだと語っているかのようで、観ていて本当に格好良いなぁと思える演出でした。この作品に漂う独特な雰囲気もそういった間尺の遣い方あってのものなのではないかと感じます。

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こ のカットも同様です。上司にあたる人物が画面右手に捌けていくとそれを見送ってから顔を合わせるまでの間に絶妙な尺が設けられています。これが例えば捌け てから後藤さんのバストショットとかにカッティングされたりしていた場合、この重厚な雰囲気はなかなか出せないのではないかと思います。また実際の映像で はこの辺りのシーンに劇伴はついていません。環境音と芝居、そしてこの間尺だけでこれほどの雰囲気を作り出してしまうのは、まさに手腕だなぁと思わずには いられませんでした。

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こ のカットも良いですね。警官とのやり取りを終えてから再度電話に出るまでの間の置き方にとても痺れました。この辺りの感覚はなかなか言葉にし難いんです が、とにかく観ていて良いなぁと思えてしまうというのはやはりあります。上記で書いたような理由ももちろんありますけど、まず先行して感じるのは直感的な 良さというか。敢えて言葉にするとすれば “侘び寂び” 的な静けさ、時代背景的な重い空気感をこういう演出に感じるからなのかも知れません。

も ちろん長回しをすると言ってもそれには色々なパターンがあるわけで、表情をじっと捉え感情を探ろうとするものもあれば、その圧縮せずに描かれた “時間” にこそ意味を置く場合もあると思います。近年の作品で言えば 『サムデイインザレイン』 とか。それこそなんでもかんでも長回しすればいいというわけでもないと思いますけど、ビジュアル的にも意味づけ的にもやはり格好良い長回しはあるんだよ なぁと再確認できた作品でもあったように感じています。それ抜きにしても 『パトレイバー』 物凄く面白かったんですけどね。プラスαでこういうのあると強く記憶に残るような作品になりますよね、本当に。

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