『アイカツスターズ!』86話の芝居について

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母に認められたいという思いと、太陽のドレスを手に入れなければいけないという重圧にも似た背負い込みから項垂(うなだ)れるよう前に倒れるエルザ。背筋を伸ばし自信に満ち溢れていたこれまでの印象からはかけ離れた芝居に思わずドキッとしてしまいました。瞼が沈むような目の芝居を含め、表情が本当に素晴らしいです。丁寧な芝居で、グッと前に乗り出し、頭頂部が見えるくらいまで沈み込みを描くことで、気の重さや感情性が増しよりエモーショナルな芝居になっています。

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ライブを終えたローラが涙を流す描写も同様で、こちらは崩れ落ちるような芝居。枚数を使った非常に感情的な芝居で、やはり頭頂部が鏡に映り込むまで頭を下げさせています。輝かしいアイドルたちがこうも頭(こうべ)を垂れるシーンを描いた挿話*1はこれまでも余りなかったように思います。前を向くというステレオタイプなアイドルらしさとは正反対の芝居。でもそれが凄く良かったですね。ローラの弱さと強さを描いた話の中にあって、この芝居は今回一番肝になっていた芝居だったのではないかと思います。

 

涙ながら自分自身に語り掛ける際の表情も良いです。笑おうとしてもどうしても涙が零れてしまい、顔が歪んでしまう。表情が言うことを聞いてくれない、感情が流れ出してしまうのを止められない。そんな、彼女の心の内がどんどんと表出してしまうような芝居であったことがとても胸に刺さりました。桜庭ローラという少女像を繊細に描き切ってくれた描写だと思います。

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またそれぞれの芝居を描いた後のカットがロングショットだったことで、よりそのシーンの情感は増していたと思います。こちらも非常にエモーショナルなカット。一方は内に秘める感情を、片や溢れ出す感情を寡黙に映し出していてそれぞれの感情に寄り添ったカッティングだなと思いました。共通しているのは孤独感を演出していた、ということでしょうか。遠巻きに見る視線であることや、ポツンと佇むレイアウトがそう思わせるのだと思います。非常に良い芝居とレイアウト・構図だったなと思います。

*1:芝居として頭を垂れるものをきちんと描き切った挿話、ということ