話数単位で選ぶ、2022年TVアニメ10選

あけおめ、ことよろ。いつだかのアニメを振り返る意味も兼ね、今回もこちらの企画に参加させて頂きます。

・2022年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。

・1作品につき上限1話。

・順位は付けない。

選出基準は例年と同じく特に面白かったもの、感動させて頂いた話を選定させて頂きました。それ以外は上記のルール通り、放映季順、他選出順に他意はありません。敬称略で表記している箇所もありますが、その辺りはご容赦を。

 

 

86-エイティシックス‐ 22話シン

脚本:大野敏哉 絵コンテ:石井俊匡 演出:石井俊匡

総作画監督川上哲也、杉生祐一

作画監督:成川多加志、真壁誠、伊藤美奈、波部崇、小川莉奈、稲田正輝、樋口香里、安田京弘

 

遅れてきた2021年の刺客。その強靭な演出はある種の極北を描き、人の感情が揺れる様を克明に記すフィルムとなりました。かつてシンが少佐へと伝えた言葉が己自身へと回帰して、新たな景色を目指すための道標へと変貌していく様はあまりにも美しく、本作の命題とも呼べる輝きを放っていたと思います。追い越したいと願う残された者の想い。その一歩が、その言葉が、その背中が。巡り巡って追い越される側の襟を正す。人と人との関係性を "アニメ的演出" で描くというその一点において、マスターピースとなるべき挿話です。

 

明日ちゃんのセーラー服 7話 「聴かせてください」

脚本:山崎莉乃 絵コンテ:Moaang 演出:Moaang 作画監督:川上大志

 

少女達の繊細な感情、その機微とそこから生まれる一挙手一投足を執拗に描いたエピソード。静的なアニメーションと時に描かれる動的なものの振り幅ある表現も、感情の起伏にしっかり載っていて、決して作画だけが物語を追い抜いていかないようコントロールする美的な矜持が本話には込められていたような気さえします。蛇森生静という一人の少女の物語。その断片を「君を忘れない」の歌い出しから指し示していく選曲チョイスには今持って尚、心酔の面持ちです。

 

その着せ替え人形は恋をする 8話 「逆光、オススメです」

脚本:冨田頼子 絵コンテ:川上雄介 演出:川上雄介 総作画監督:中村真由美 

作画監督:小林恵祐

 

少女たちの純粋な想いを一つも取り溢さない様に描く演出の手つき。室内・屋外問わず多角的なレイアウトを駆使して各々の感情を積み重ねていきながら、本当に大切な瞬間は正面切ってその切実な表情を描ける芯の強さは、そのまま本作が携える "好きなもの・人へと向けた情熱" にも語り直すことが出来るのだと思います。光があれば、陰が出来る。好きな人を前にすれば、気持ちが逸る。それをたった一言 「逆光」の言葉で前置きするサブタイトルの秀逸さには一周回って感激させられたり。あとはアニメ有史史上、一番江ノ島の海を過不足なく描いた挿話だったなとか。ワカメ浮いてるんだよなあとか。そんなことにも思い馳せられる、大好きな挿話。

 

サマータイムレンダ 15話 「ライツ カメラ アクション」

脚本:瀬古浩司 絵コンテ:矢嶋哲生 演出:矢嶋哲生 作画監督:西谷泰史

 

私が鑑賞したなかにおいては、きっとこの年一番と言っても差し支えない程の作画回。憎悪、惑い、怒り、悲哀、ありとあらゆる感情が作劇に乗り、表情として映し出され、ダイナミックなアクションへと昇華されていく様はまさしくアニメーションを観る醍醐味に溢れていました。物語的にも一つのクライマックスであり、分岐点。乗り越えられなかった壁をついぞ乗り越えたカタルシスに満ちていたこともまた、視聴後感をよりよいものにしてくれていたと思います。

 

であいもん 2話 「四葩に響く」

脚本:吉田玲子 絵コンテ:追崎史敏 演出:大西健太

作画監督:斎藤香織、北島勇樹、佐藤史暁、Synod

 

やりたいこと、やるべきことの狭間で揺れる美弦の姿と心情を丁寧に描いた挿話。どこまでも等身大で背伸びをしない映像だからこそ、本作らしい間を置いた優しい語り口にグッときます。揺れる恋心の芽生えを知らせてくれるのも趣深く。澄み渡る空の下、歩むその一歩に明るい未来の展望を描く終わり方もとても秀逸でした。舞台は京都、そのバックショットに重ねるものがあったことは、ここだけの話。

 

チェンソーマン 6話 「デンジを殺せ」

脚本:瀬古浩司 絵コンテ:榎戸駿 演出:榎戸駿 総作画監督:齊田博之

作画監督:矢島陽介、山門郁夫、青木里枝、長谷川ひとみ

 

不穏な空気が流れるなか、淀みなく流れる時間を感じられるのが本作の持ち味。まさしく『スカイ・クロラ』の系譜。暴力的なまでのアクションもその成りを潜め、描かれたのは各々のパーソナリティと会話劇でした。謎解きのような性質を持ちつつ、人間関係と恐怖に支配されていく人の様を示していたのも魅力的で、ほぼ室内でのやり取りながら飽きとは無縁のカッティングも演出の妙を感じさせてくれます。あとはやっぱり、アキと姫野の馴れ初め。情感溢れる二人の回想はこの物語に通底する「デビルハンターも生きている」という当然の事実に目を向けさせてくれます。生死と色気は紙一重。初めて覚える煙草の味は、いつだって彼の人間らしさを支えてくれているのでしょう。

 

陰の実力者になりたくて! 5話 「アイ・アム……」

脚本:井上美緒 絵コンテ:中西和也 演出:中西和也 総作画監督野田康行 

作画監督:明珍宇作 アクション作画監督:中西和也 銃器作画監督:北原大地

 

炸裂・中西和也アクションの本懐。遡れば『落第騎士の英雄譚』で描かれたアクションに恋焦がれてから幾星霜、ようやく再会を果たせたと言うべき本作の戦闘シーンはドライブ感と良い意味でしかない大味さに溢れていて、何度観返しても感動させられます。1話からのアトミックな伏線回収も素晴らしいうえに、アレクシアの過去と今を繋げるドラマにまでエピソードが展開されていくのが堪りません。A/B両パートともふんだんに盛り込まれたアクション。陰に潜み、陰を狩る、本シリーズの原点。

 

ヤマノススメ Next Summit 7話 「初日の出、どこで見る?/クラスメイトと山登り!」

脚本:山本裕介/ちな 絵コンテ:斎藤圭一郎/ちな 演出:斎藤圭一郎/ちな

総作画監督松尾祐輔(同一) 作画監督佐藤利幸/ちな

 

ひとり孤独だったあおいの過去と、誰かに手を引いてもらうことで新しい世界と出会えたこれまでと、今度は彼女自身が誰かの手を引き共に歩むことで、また新たな出会いと関係性を築いていけるのだろうという予感を余すことなく描いた二本立てのフィルム。初日の出を拝んだ際の万感の思い込もる各々の表情と、高尾山でのザ・五十嵐・コミカル・海的な、アニメ漫画ナイズドな芝居などヤマノススメらしい作画の豊かさが味わえるのもとても魅力的でした。一番お気に入りだったのはあおいとかすみが一緒に歩くシーンと、アイコンタクトを取り合うシーン。生活芝居の極地。

 

モブサイコ100 lll 8話 「通信中② 〜未知との遭遇〜」

脚本:立川譲 絵コンテ:伍柏諭 演出:伍柏諭 作画監督:伍柏諭

 

徹頭徹尾、映画の様な質感。日中の冒険シークエンスから山頂での夕暮れ、宇宙船内、別惑星でのシーンと、カラーグレーディングの巧みさ、そのグラデーションが余りにも美しく見惚れてしまいます。それこそ映画における色とは "もう一つの言語である" という決まり文句さえ再三言いたくなってしまう様な。そしてそれを物語に沿えるドラマチックさまで含め堪らないエピソードになっていたと思います。表情や芝居づけなど地力度の高い作画が延々と観られるのも最高なポイント。余談ですが、『スペース☆ダンディ』9話を思い出したり。好きなんです。こういうAnotherストーリー的なの。

 

参考記事:2014年テレビシリーズアニメ話数単位10選 - Paradism

 

ぼっち・ざ・ろっく! 12話 「君に朝が降る」

脚本:吉田恵里香 絵コンテ:斎藤圭一郎 演出:斎藤圭一郎 作画監督:けろりら

 

押し入れから舞台へ。結束バンドとしての集大成。彼女自身が「支えたい」と語った仲間達や家族・友人達から向けられる「支え返す」ための視線。最後にはステージから落下するところまで含め、そうしたあらゆるバックボーンに裏付けされた後藤ひとりという少女の半生が、全て本話に込められていたと感じられたことが何よりも嬉しかったです。後半パートは非日常から日常への回帰。けれどその手に残るのは熱の残滓で、明日も明後日も続く彼女たちの日常の中において、"それ" はきっと大きな価値あるものになっていくのだろうという希望的観測で締め括られる映像美がとても情緒的でした。1話のリフレインであった演出もきっとその延長上です。

「俳優や映画スターには成れない それどころか 君の前でさえも上手に笑えない」そんな自虐と哀愁が転がり巡って、誰かの元に届くことを願う、祈りのような挿話だったなとか。そんな風に思います。それと『けいおん!』で始まった私のアニメファンとしての道はここに繋がっていたのか、とさえ思えた感慨まで含めて。本当に一入の最終話でした。

 

 

以上が、2022年度選出した挿話になります。

 

そして、ようやく私の2022年が終わりました。本当は昨年ケリを付けようと思っていたんですが、だらだらと間延びしてしまい、結局2026年まで持ち越ししてしまったのは不甲斐なかったなと思います。ただこうしてしっかり終止符を打てたこと自体は良かったなと思うし、嬉しいので、書けて良かったです。上記の通り『ぼっち・ざ・ろっく!』を筆頭にこの年は私にとっても掛け替えのない作品との出会いが多かったんです。だからちゃんと清算して、整理して、「ありがとうございました」ってちゃんと胸を張って言いたかったので。万感の思いです、本当に。

 

それと2026年の目標はアニメと映画を観る、なので気長にやっていければなって思います。昨年発刊した同人誌のあとがきにも書いたように、アニメブログなんて廃りようのないほどに流行らない時代ですけどね。でも感謝とか、愛情とか、敬意とか。そういう流行り廃りに関係のないものを書き残したくて始めたブログなので、それでいいんだと思います。さながら「ひとりちゃんを支えていけるようになるね」って言ってた喜多ちゃんと同じ表情をしながらそんなことを思い、書いています。未来の自分のために。そして、どこの誰かも知らないあなたの一助になるために。もう自分のためだけに書いてるんだ、なんて、上辺だけの言葉はやめにしたいです。恥ずかしいとか、言葉にするのダサいとか、もうそんな歳じゃないので。まあ温かく見守って頂ければ嬉しいです。v( ̄Д ̄)v イエイ。

 

というわけで、2022年も本当に多くの素敵な作品に出会えました。関わったすべての制作スタッフ・関係者の皆様に大きな感謝を。あと今に至るまで私の活動に協力してくださったり、見守ってくださった皆様にも。本当にありがとうございました。今年もたくさんの素敵なアニメとの出会いがあることを願いつつ。また一年、健やかなアニメライフを送ることができればいいなと思います。ではまた。