『約束のネバーランド season2』のEDについて

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本編の映像的な暗さ、暗澹たるストーリーラインを打ち消すよう描かれた今回のエンディング。壁の外へ希望を見出したエマたちと同様、格子の向こうに光をみるファーストカットから紡がれていくカットの多くは、そんな希望的観測に満ち溢れた質感を携えていました。特に顕著だったのはそのライティング。くっきりと明暗を分かつ陽(ひ)と影の存在は、まるで "こんな世界でも生きていくこと" を強く後押ししているように感じました。

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この辺りのカットも同様です。低い明度の中ではありますが、それは良くないことへの暗示に満ちた本編の流れを汲めば必然で。そんな中であっても "私たちは此処に居る" と云わんばかりの存在感を示すコントラストのつけ方や色味には、やはりグッと胸を締めつけられます。鬼ごっこのような、かくれんぼのような見方も出来るこの物語を踏まえれば、草葉の陰で木漏れ日(月の光)を浴びるというのも非常に感傷的で素敵です。また鬼の象徴として描かれ続けた "人間" とは少し違う手足の質感をこうも柔らかく見えるよう演出していたことには強い感動を覚えました。

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それこそ、season2の1話終盤で描かれた鬼と称される二人の手足の見せ方と対比すれば、それも一目瞭然のような気がします。暗がりの中にぼやっと映し出される鬼の象徴。おどろおどろしい劇伴や見せ方も影響していますが、恐怖の対象としてすら映し描いてきたものを直後のエンディングで翻す意味はやはり大きく、だからこそ前述したように柔らかく描かれた鬼の足のカットを観てあれほどまでに感動できたのだとも思います。

 

もちろんエンディングでの見せ方が意図して1話終盤のカットと対比的になったのかは分かりませんが、それがたとえ偶発的なものであったとしても、そう見えたことはやはり感情を大きく揺さぶられる理由としてとても大きなものでした。

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ロードムービー的な見せ方。あくまで鬼である彼女たちも "人と同じである" ことを匂わせてくれる質感と温かみある色の調和。背景も含めた作画の良さもさることながら映像を構成するあらゆる要素が一つになり、圧倒的な絵としての素晴らしさと世界観を強く感じさせてくれます。その後に描かれるフラッシュバック的な描写も合わせ、まだ本編では決して語られていないものを既に我々受け手が知ったかのよう錯覚させてくれる映像の強さ。歌詞との合致。物語性。遠くを見つめるムジカの視線になにか言い知れぬ感情が去来するのも、すべてそういったものへと結びついていくのだと思います。

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そうした映像の中、特に素敵だなと感じたのがこのカットでした。これまでふれてきたような色味やライティングによって構築される世界観の素晴らしさを強く感じたカットであることは言わずもがな、一歩踏みしめる度にヒールへとそそがれる光のあたり方、その質感があまりに感傷的だったのです。なぜなら、その一歩を踏みしめ進んでいくことに意味を見出してきた本作にあって、そこへ少しばかりの陽が差すというのはこの世界で生きる者たちへ送られる祝福に他ならないと感じたからです。

 

それこそ、赤い葉か花弁か*1。その上をゆっくりと踏みしめ歩く姿には懸命に生きようとしてきたエマたちの姿を重ねずにはいられませんでした。それは、生を感じさせる揺れ靡くスカートの裾の速度、その道の先に少しばかり想いを馳せることのできるレイアウトなども同じこと。そのすべてが本当にこれまで描かれてきた物語と相まっていて、強く感動させられました。

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そして最初に描かれた窓と同じものなのかどうか、冒頭での閉塞感とは逆の解放感、青さ、そして時の経過を感じさせてくれるカットがとても情緒的であり、物語的で。振り返りまた歩き出すムジカの微笑みや空に抜けていく締め方も含め、フィルムの最後まで強く希望を抱かせてくれる流れ。些細な、けれど確かに刻まれていく明日への道導足る一つ一つの描写が本当に素敵でした。エンディング主題歌であるMyukさんの楽曲も素晴らしく、「物語を終わらせたくはない」「この夜を越えて行け」などのフレースが映像とマッチしていく過程など、もう大好きです。

 

そして、このエンディングのコンテ演出、作画、背景、仕上げ*2までを担当されたのが紺野大樹さん。以前担当されていた『炎炎ノ消防隊』のエンディングでも感動したのを覚えていますが、本作の映像も素晴らしく、その全てのカットにとても惹かれました。重ね重ねになりますが、撮影の良さも含め色味や世界観、なにより絵の力強さが素晴らしく、ムジカたちの物語にも必然と目と耳を傾けたくなる、そんな素敵なフィルムだったと思います。本編の話ももちろんですが、その中でこれからこのエンディングがどう影響し、また違った見え方をしていくのか。そういった部分も今からとても楽しみです。ですが、一先ずはこんなにも素敵なエンディングに出会えたことに今は感謝をしたいなと思います。

*1:本作ではこれまで命の象徴としても描かれてきた

*2:仕上げ協力に古橋聡さん

話数単位で選ぶ、2020年TVアニメ10選

今年のアニメを振り返る意味も兼ね、今回もこちらの企画に参加させて頂きます。

・2020年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。

・1作品につき上限1話。

・順位は付けない。

集計ブログ様ANINADO-「話数単位で選ぶ、2020年TVアニメ10選」参加サイト一覧

選出基準は例年と同じく特に面白かったもの、感動させて頂いた話を選定させて頂きました。それ以外は上記のルール通り、放映季順、他選出順に他意はありません。敬称略で表記している箇所もありますが、その辺りはご容赦を。

 

 

22/7 7話 「ハッピー☆ジェット☆コースター

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脚本:大西雄仁 絵コンテ:森大貴 演出:森大貴 総作画監督:まじろ

作画監督:三井麻未、田川裕子、川村幸祐、木藤貴之、りお、凌空凛、飯野雄大

 

二人の少女を象る影と光の物語。どこまでも内省的で、感傷的で、その内側から見える光がどれほど彼女にとって眩しいものだったのかを克明に記す挿話でした。ライティングの一つ一つ、モチーフの一つ一つが彼女の心根にふれるようで、初めて観たときは胸に迫るものの大きさにただただ圧倒され、泣いてしまいました。特に彼女の過去を踏まえてのラストシーンは素晴らしく、無事でいてくれた仲間/友人たちへの想いを詰め込むコンテワークと、ジュンの感情が滲む芝居には胸を締めつけられます。多くのカットが彼女の心象風景そのもののような、そんな風にさえ思える力強い数々のカットが今も尚、脳裏に焼きついて離れません。

参考記事:青空の似合う貴方へ――『22/7』7話の演出について - Paradism

 

Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア- 18話 「原初の星、見上げる空

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脚本:桜井光 絵コンテ:温泉中也 演出:温泉中也 総作画監督高瀬智章

アクション作画監督:温泉中也 作画監督:Moaang、川上大志、温泉中也

 

圧巻のアクション作画、情感的な芝居。そのすべてが物語の終わりへ向け音を立て収束していく様は、あまりに気高く、美しく、とても感動的でした。各々が抱える想いや信念が作画に宿る瞬間というものはやはり、とくと素晴らしいのだと改めて思い知らされたような気がします。エンディングへの入りも完璧で、まさに一本の映画を観終えたような気分にさせられる挿話でした。またアクションはもちろんですが、特に好きだったのは序盤、マシュとイシュタルが二人で会話する場面。浮かぶ星々を人々の輝きに見立て続けた本作の代名詞とも呼べるシーンでした。「遥かな過去、遥かな時代に輝いた誰かの人生。それを何千年も経った今、受け取る」。そしてこの時代に生きた彼ら/彼女たちの想いもまた未来へときっと繋がっていくのだろうと。冴え渡るエモーショナルな演出、サブタイトルまで含め、そんな風に思えたことがとても嬉しかったです。そして、その物語を遥か未来の今を生きる人々がアニメーションとして描きだす奇跡をも合わせ、非常に感慨深い挿話となりました。個人的に2020年の一番好きな作画回と言えばこの回だと言い切れます。

 

映像研には手を出すな! 8話 「大芝浜祭! 」

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脚本:湯浅政明 絵コンテ:長屋誠志郎 演出:長屋誠志郎 総作画監督浅野直之 

作画監督:木下絵李、河本零王、寺尾憲治

 

より湯浅監督らしさを感じる前半のコミカルなシーンから、よりパーソナルな部分にスポットを当てていく文化祭での上映パート。そして、展開される水崎ツバメと家族の話。アニメーション/作画に恋焦がれる少女が、自らの手で道を切り拓いていたことへの両親の理解と "それを支える演出の凄み" も合わさり、非常に万感の想い溢れる話になっていたように感じます。中でも、木漏れ日のなか水崎家が家族三人で話しをするシーンは息を吞む秀麗さ。役者もアニメーターも同じように、なにかを生み出すことへの衝動は果てがないのだと語る演出、台詞回しがとてもクレバーでいて熱の込もるものになっていました。どこか深淵を見つめるような憂いも情緒があり、良いですね。この作品に関しては、特に3話と7話、いずれかの話数を選ぶかでかなり悩みましたが、7話でのツバメの台詞が具現化された8話は多岐に渡りアニメーションの魅力を寡黙に説いていたように思えて大好きです。

 

ランウェイで笑って 3話 「ランウェイで笑って」

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脚本:待田堂子 絵コンテ:長山延好 演出:住石亜蘭、渋谷亮介

総作画監督:金子美咲、中山和子

作画監督:杉浦久雪、Studio EverGreen、Synod

 

「服を引き立てるためモデルはランウェイでは笑ってはいけない」という前提の中、本作がタイトルとして「笑って」という言葉を冠に置く意味はなんなのか。その本懐の一片を味わうことが出来る非常に劇的な挿話です。育人と千雪、そして新沼文世の物語が交わり描かれる群像劇が素晴らしく、スピード感あふれるコンテワークの中、感情曲線が描く放物線の美しさにはただただ見惚れました。世の中うまくいかないことも多いけれど、それでも本当にやりたいと思うのならやりたいことをやればいい。好きなことを好きと、やりたいことをやりたいと叫べばいい。その姿こそが誰かの胸を打ち、また誰かの "やりたいこと" に繋がっていくのかもしれない。そんな未来への希望を見出すまでがきっとこの挿話の主題でもあるのでしょう。好きなことを好きだと胸を張り言えることを、「ランウェイで笑う」ことに繋げたまさに秀逸な回。フィルムを彩る撮影、感情を誘導する視線描写の良さもあり、観ていて非常に心に刺さるエピソードでした。

 

イエスタデイをうたって 2話 「袋小路」

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脚本:藤原佳幸 絵コンテ:伊藤良太 演出:牛嶋新一郎 総作画監督谷口淳一郎

作画監督:武藤幹、矢野桃子、長尾圭吾、寿門堂、菊永千里、菊池政芳、海保仁美

菅原美智代、上野沙弥佳、池添優子、乘富梓

 

あらゆるモチーフや舞台装置を使い境界や隔たりを構築する演出の妙。主人公とヒロイン二人の関係性や感情をうまくレイアウトに落とし込んでいたのが、あまりに絶妙でした。どちらかと言えば地に足の着いた現実感の強い作風。しかしだからこそ、ふだんのさりげない芝居や仕草が生きるのがこの作品の素晴らしいところで、特にこの回はそういった見せ方が顕著だったように感じます。観終わった後には思わず溜め息をついてしまうほどに強く惹き込まれた挿話。遠景やそれを彩る色味、撮影の良さなども含めとても胸を打たれたエピソードです。

参考記事:『イエスタデイをうたって』2話の境界、演出について - Paradism

 

魔王学院の不適合者 〜史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う〜 4話 「十五の誕生日」

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脚本:田中仁 絵コンテ:田村正文 演出:関根侑佑 総作画監督:山吉一幸、平田和也

作画監督:大槻南雄、古谷梨絵、船越麻友美、水﨑健太、久松沙紀、竹森由加

 

本来ならば存在するはずのない姉妹。けれど貴方が居たからここまで生きて来れたように、貴方が居なければきっと "今の私は居ない"。だからこそと自らの命を賭し、感情を押し殺し、ただ一人大切な人を救おうとする真っ直ぐな想いがどこまでも眩しく、輝き続けた挿話でした。印象的な演出も冴えわたりますが、向き合う瞬間は彼女たちと真っ直ぐ向き合ってくれる見せ方が本当に素敵で、ついぞ涙を誘われました。アクションも良く、劇的で直情な映像の流れにはとても引き込まれました。加えて総監督として関わる大沼心さんの過去作を思い出す映像表現には思わず膝を叩きましたが、中でも嘘をつくと目にその態度が現れるというのがまた堪らず。偶然だとは思いますが、ここで『ef』を重ねられた体験は、私にとって今後とても大切なものになっていくのだろうと思います。

 

かくしごと 12話 「ひめごと

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脚本:あおしまたかし 絵コンテ:村野佑太 演出:村野佑太

総作画監督:山本周平西岡夕樹、遠藤江美子

作画監督:玉利和枝、sataりすく、山本周平、西岡夕樹、遠藤江美子

 

これまでの挿話の中で描かれた一つ一つのピースが繋がった最終回。アンニュイな雰囲気が根幹にある中、「あなたのためなら」と全力で駆け出す姫の姿、その疾走感の素晴らしさに思わず涙してしまいました。記憶を失っても尚、娘に捧げ続けた無償の愛。それが翻り、父に捧げる無償の愛へと変遷していく過程があまりにもドラマチックでした。親子二人のバックショットで終わるのも堪りませんね。エンディングと対になっているような。エモーショナルなカットも多く、とても胸に残る挿話だったと思います。

 

ストライクウィッチーズ ROAD to BERLIN 8話 「ザ・フォッグ

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脚本:村上深夜 絵コンテ:川崎芳樹 演出:川崎芳樹、亀井隆広

総作画監督:サトウミチオ、小野田将人 作画監督:柴田和紀、牛島希、重本和佳子

 

エイラとサーニャの関係性は言わずもがな。けれど、前作から10年経った今だからこそ、もう一度二人の関係を見つめ直そうとする物語の在り方がとても素敵でした。霧がかる空が舞台というのも乙で、あらゆる状況が重なり視界が狭まる中、"なにを信じるのか" ということを問いかけるストリーラインも秀逸。晴れ渡る空に二人という本作らしい締めがとても美しく映りました。相も変わらずな中学生男子感を見せるエイラ。その横で微笑むサーニャという構図だけでもう眼福ですね。どの話数を選ぶかでとても迷った本作ですが、作画もドライブ感溢れるコンテワークも素晴らしく、なにより一番好きな二人の絆の話。振り返ってみればやはりこの回なんだよな、と思いました。

 

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 5話 「今しかできないことを」

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脚本:伊藤陸美 絵コンテ:長友孝和 演出:横手颯太

総作画監督:横田拓己、冨岡寛、渡邊敬介 作画監督:鐘文山、山内尚樹

 

ライティング光る印象的なファーストカットから始まった本話ですが、あのアバンの演出がみせた "凄いことになるかも知れない" という予感は、今思えば意図的だったのだろうと思います。横構図や光と影の映像表現がもたらすエマと果林の関係性、心情描写はその幕切れまで連なり続け、もはや一本のフィルムを構成する根幹にすら成り得ていました。等身大の気持ちや悩みを描き続けた本作にあって、向き合うことをどこまでも中心に据えたフィルム。劇中歌に至るラストシーンはまさにその極地だと思います。手を指し伸ばす芝居の濃度も高く、その積み重ねが果林の想いを振り向かせたのだろうと感じられるラストカットが最高でした。横構図を描き続けた中、最後が正面カットっていうのが本当堪らないです。

参考記事:『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』5話の演出について - Paradism

 

アサルトリリィ BOUQUET 5話 「ヒスイカズラ

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脚本:佐伯昭志 絵コンテ:長原圭太 演出:長原圭太

総作画監督:潮月一也、崎本さゆり、常盤健太郎

作画監督:高野晃久、佐藤隼也、秋葉徹

 

梨璃の誕生日を控え、プレゼントに頭を悩ませ奔走する夢結と、その一日を描いた挿話。コメディタッチに描かれる中、誕生日当日になるにつれシームレスにアンニュイな雰囲気へ移ろいでいく演出、閑静で情緒的な見せ方にとても引き込まれました。なにより、足を運んだ梨璃の故郷でその景色や色、匂いまでをも彼女が感じているように映ったのはきっと気のせいではないのでしょう。そっと口元に運ばれるラムネの発泡音やビー玉の音色まで、そうした全ての一瞬に梨璃と夢結の繋がりが深まっていく実感を得られることがきっと本話においては大切であったはずです。"相手をよりよく知る" ことを描く先で、自分が今抱いている感情が本物なのかを問われる幕切れも秀逸。自らがお姉さまに抱く感情とそれは同じ類のものなのか、それともーー。同時進行で描かれた梅と鶴紗の話も踏まえ、どこまでも繊細に関係性を描きだした素晴らしいエピソードでした。

 

 

以上が、本年度選出した挿話になります。

 

今年もかなり悩みました。最後まで悩んだのは『彼女、お借りします』7話、『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』11話など。その他にも初期段階で候補に挙げた話数もありましたが、最終的には自分らしい選択ができたように感じています。どの話数も自信をもって大好きですと言い切れる挿話ばかりです。

 

今年も本当に多くの素敵な作品に出会えました。関わったすべての制作スタッフ・関係者の皆様に大きな感謝を。本当にありがとうございました。来年もたくさんの素敵なアニメとの出会いがあることを願いつつ。また一年、健やかなアニメライフを送ることができればいいなと思います。

テレビアニメED10選 2020

今年もこの企画に参加させて頂きます。放映季順、他順不同、他意はありません。敬称略含む。視聴した作品からのみの選出で、選出基準はいつもと同様 「とにかく好きなED」 です。

 

恋する小惑星 / 夜空

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アンニュイな表情、些細な仕草。そのすべてが感傷的で少女たちが抱く心情を浮き彫りにしてくれるようでした。どこか遠くを見据える視線は過去へのものなのか、それとも。そんな風に思えるのはどこまでもこのフィルムが本編と地続きであったからなのだと思います。終盤で描かれる芝居も素晴らしく、そういった一つ一つのカットの良さも含め何度も繰り返し観てしまったエンディングです。みらとあおの信頼関係、その結晶のような映像美でした。

関連記事:『恋する小惑星』のEDについて - Paradism

 

Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア- / Prover

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おそらく今年一番といっていいほど心に染みたエンディング主題歌。圧倒的な空気感とイントロに置かれる単音の心地よさは各挿話の幕切れを美しく彩っていました。「踏み外したあなたでさえ手離さないように」という一節に伴い上げられるギルガメッシュの視線、その後ろに描かれる人物たちの各々の生き様がフラッシュバックしていくような見せ方には胸を熱くさせられました。エルキドゥが一人だけ逆光(下手向き)なのもとても物語的。田中将賀さんの絵(表情)の良さも含め、このエンディングがあったからこそ毎回感傷的になれたような気がしています。

 

プリンセスコネクト!Re:Dive / それでもともに歩いていく

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美食殿のなんてことのない平凡な一日を映像へ落とし込んでくれたことがとても嬉しかったです。朝起きて、挨拶を交わし、テーブルを囲んで、出掛けたあとは陽が沈む頃に帰宅する。ですが、そんななんてことのない一日こそが彼女たちにとっては掛け替えのないものなのでしょう。弾む表情もあれば憂う表情もある、想い想いのものを秘めているのは相変わらずで、けれど秘め切れないものも一つ。大切なもの、大切な人を大切だと静かに訴えたとても美しいエンディングフィルムでした。『この素晴らしい世界に祝福を!』でもそうでしたが、金崎貴臣監督はこういった映像を演出されるのが本当に上手ですね。

 

かくしごと / 君は天然色

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聴きなれたナンバーにコントラストと彩度の高い画面。どこか懐かしいようで新鮮な空気が漂うのは音楽と映像のマッチもさることながら、本編の軸に描かれた物語を高い濃度で再現したからなのだと思います。オープニングの映像とは違い、どちらかと言えば過去よりも未来向き。走る姫と可久士が "ある意味" で再会するまでの物語であり、懐かしい思い出にもう一度二人が触れるまでの過程を見事描き切っていました。ワンポイントで歌詞をプロップ化したり、ワンカット毎が画になるものばかりなのも素敵です。最後は家族3人で帰路へ。そんな締め方も本作らしく、これからの彼らに想いを馳せられることまで含め本当に素晴らしいフィルムでした。

 

おちこぼれフルーツタルト / ワンダー!

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POPな楽曲に可愛いSDキャラ、そしてフェティッシュなカットの数々。細かい音ハメなども心地よく、観ているだけでつい笑みがこぼれてしまうような映像が大好きでした。楽し気でありながら、最後はスッとテンションを落としてネズミ荘での温かみ、関係性を感じられる締めも良いですね。またコンテ演出、作画監督、原画を担当された川村幸祐さんの絵の良さは圧巻。少女性と艶やかさの兼ね合わせが本当に堪りません。氏が参加された作品で言えば『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』OPを思い出したりもしました。

 

ご注文はうさぎですか? BLOOM / なかよし!○!なかよし!

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不思議の国のアリスをモチーフに据えた世界観をチマメ隊が巡るフィルムスタンス。その中で描かれる絵の良さ、ライティング、撮影の良さにとても引き込まれました。チノが心深くに抱いているかも知れない心情と歌詞、映像とのシンクロも素敵で、なんだか少し感傷にも浸れる(彼女たちの心に触れられたような気がする)のも嬉しかったです。随所に散りばめられた可愛らしさを上げれば切りがなく、徹頭徹尾『ご注文はうさぎですか?』らしさを感じられるエンディングでした。最後のラテアートが毎話変わるのもサプライズがあり好きでした。

 

呪術廻戦 / LOST IN PARADISE feat.AKLO

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ディスコチックな音楽に合わせ登場人物たちが踊る、本編とはまた違う一面や雰囲気を垣間見れるのがこのエンディングの素晴らしさです。ステップの軽やかさ、綻ぶ表情、こちらまで身体を揺らしたくなる数々の映像はアニメーションの楽しさを今一度思い出させてくれる力がありました。ラフタッチな作画がそのままスカッシュやおばけのような表現に生かされ躍動感が膨れ上がるのも感動に拍車を掛けます。線を観る楽しさまで感じられるのが本当に堪りませんね。スタイリッシュなようでポップ。実写畑の長添雅嗣さんがコンテ演出というのも驚きでしたが、一人原画をされた五十嵐祐貴さんの作画の素晴らしさには改めて打ちのめされました。

 

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 / NEO SKY,NEO MAP!

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本編で降りし切った雨が上がっていくような情緒的な映像。新たな予感と少女たちがその一歩を踏み出す瞬間を切り取っていくような楽曲の素晴らしさ。そんなフィルムを構成するなにもかもが感慨と感動に満ち溢れた本年屈指のエンディングです。作画を担当されているめばちさん特有の絵の質感とレイアウト、ライティングの良さ*1が、彼女たちが歩むこれからの物語までを視せてくれるのが本当に大好きでした。イントロの入りも格別で、このエンディングがあったからこそ本編の物語がより美しく彩られたのではないかなと思います。


戦翼のシグルドリーヴァ / サヨナラナミダ

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クラウディアが一人歩んできた道を辿るような映像の情感。灯す火がどこか心細く映ったのは本編を観れば少しばかり納得の出来るものでした。赤い糸の先にあるのは運命の待ち人か、もしくは宿命か。いずれにせよ、あなたの手を握りその身に心を寄せてくれる人たちが今はいる、だからーー。まだ本編を観終えていないので断言できることは多くありませんが、そんな風に物語的なことを強く考えさせてくれるエンディングだったと思います。歩く芝居の速度、揺れるワンピースの質感がさらにフィルムを情緒的にしていたのもグッと来てしまうところ。コンテ演出、作画監督、原画を担当された大野仁愛さんの本編とはまた違ったデザインの作画も素晴らしく、初めて観たときは思わず息を呑んでしまいました。

 

アサルトリリィ BOUQUET / Edel Lilie

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疾走感溢れる楽曲、その一音一音に合わせるよう次第にテンションを上げていく構成が堪らなく好きでした。圧倒的な絵の良さと情報量の多さ。命を賭し戦う少女たちの一瞬の輝きを一つ一つ映像に綴じこめていくような演出の良さは筆舌に尽くせません。少女性と陰鬱で感傷的な空気、そんな相反するようで合致する質感がこの映像には詰め込まれていたと思います。『恋する小惑星』に引き続きディレクターを担当されたのは中山直哉さん。レターボックス、シネスコサイズを生かしたどこまでもエモーショナルな映像は、まさしくらしさなのだろうと思います。

 

以上が今年のED10選となります。今年はOPより大分悩みましたが、終わってみれば例年通り自分の好きが詰まった選出になりました。本編とはまた違う魅力の詰まった短編アニメーション。それでいて物語により深くまで潜らせてくれるものがあったり、楽しさを詰め込んだものがあったりと、たくさんの感情をもたらしてくれるエンディングって本当に素敵です。最後に、関わられた全ての方々に感謝を。今年も一年、素敵な映像体験を本当にありがとうございました。

*1:視線誘導が余りに決まっている...!