最近観たアニメの気になったこととか1

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『彼女、お借りします』3話。すごく良い表情芝居とか感情がダイレクトに出る感じがとても好きな作品なんですが、3話のこの表情が本編を通して一番好きでした。主人公の和也って原作だと話が進むにつれこういう表情をよくするようになるんですが、それが垣間見れたこととか、彼も彼なりに考えていたり、思うことがあるんだよっていうことを示してくれるカットがここでスッと描かれたことがとても嬉しかったです。

 

それと指の立体感がめちゃくちゃ良くて、それが前述したような心情に寄せるキーパーツになっているのも素敵だなと感じました。光と影の境界、心の深度。フラットな表情にみえて、それを支える頬杖に面積の多い影がかかることですごく感傷的になれる。まるでかかる影が彼の心の内を少しだけ覗かせてくれるようで、だからずっとこのカットが印象深く心の内に残っているのだと思います。

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影の立体感だとこういうカットとかも。カットの繋がり、話の流れ的にはまだ感情曲線的にも中ばくらいのところだと思うんですが、こういう絵が入るとやっぱりドキッとしてしまいますね。それこそその人の内面に迫るような感覚もあって、さきほどの話にもリンクしていくんじゃないかなと。この作品のキャラクターデザイン、この話の総作画監督をやられているのが平山寛菜さんですが、平山さんが参加されていた『Just Because!』8話についても、以前同じようなことを感じていたのを思い出しました。

そういえばこの作品にも参加されていたなと調べたら、丁度この話数の総作監もやられていたのを知れたのは嬉しかったです。やっぱり普段立体的な影づけなどが強く描かれない作品の中で、立体感のある表情だったり、芝居が描かれる瞬間って言うのは当事者の心情的に大切な瞬間だったり、なにかを想う時間だったりするのかなとかは考えます。もちろんそれぞれの絵が修正ゆえのものなのか、パートを担当された方のタッチなのかはわからないので、例えばそういった作画が〇〇さんの特徴、とかが言いたいわけではないです。ただ関連して思い出したっていうのと、シーン中のカット単位の意味合いとしては強く重なるなっていう。影が作り出す立体的な感情、というか。そんな感じです。

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『放課後ていぼう日誌』3話。このカット、芝居づけがめちゃくちゃうまくて感動しました。紐の細かい挙動もそうなんですが、それ以上にその紐を引っ張る手先の芝居がすごく素敵で。ただ引っ張るだけじゃなくて、薬指?を途中で一本かませる。この芝居が入ることで、ものすごく人間味がますなと感じます。動きの中に余白ができることで生活感が出るというか。

この作品自体、わりと時間の流れが遅くて、ゆったりした時間間隔があるんですよね。だからこういう芝居が入ると余計に良さを感じてしまうというのもあるんだと思います。これが彼女のルーティーンで、この指遣いが彼女の呼吸で。そういうのをすべて含めての生活感。個人的には、この芝居が入るのと入らないのでは印象がまったく変わるので、やっぱりこういう芝居が入ると嬉しくなってしまいます。芝居のうまさに感動するというのもそうですし、その人の人物像に近づけるような気もするので。

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余談ですが、こういった芝居にも同様のことを感じます。ただ立ち上がるだけではなくて、その際にお尻を二度ポンポンとはたく。あくまで自然に。生活の中の一部として芝居が収束していくように。そこになにか情感とか、その人の気質とかを感じられるのがすごく嬉しいし、楽しいんです。タイミングの良さや動的な気持ちよさなど、作画的な良さを感じてしまうのはもちろんですが、それが自分の中で "なにか" に結びついていくとより良さを感じてしまうというか。一つの行動が始まって終わるまでの中にもう一つ、二つ芝居が入ったり。そういうのが、もうすごく好きです。

 

最初に挙げた『彼女、お借りします』でもヒロインの千鶴がご飯を口元に運ぶ際に浴衣の袖を抑えたり、電話に出る前にあてる方の耳にかかった髪をかき上げたりとかありましたけど、ああいう芝居が入るだけで本当に本当に良いな… という気持ちにさせられてしまいます。

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涼宮ハルヒの憂鬱』。知人とエンドレスエイトを通して観たんですが、その中でも特に三好一郎さん演出回、その中の長門のバックショットには感動してしまいました。やはりこういうカットを撮るのが三好さんなんだと。登場人物たちを見守るよう、柔らかく雄大なスポットをあてるように印象的なカットを要所で決める。そのすごみはやはり筆舌に尽くせないものがありました。長門の想いと、漠然とした何か。確かなものがあるわけではないけれど、なにかがそこにあるような。『響け!ユーフォニアム』5話のラストカットも同系統のカットでしたが、あのカットでも本当に感動させられました。シームレスで隙のないカッティングなんですが、こういうカットでは溜める。その流れ、コンテ構成の凄みに改めて気づかされたなと。他の多くの作品でもこういったバックショットやミドルショットは使っていますが、その話についてはいずれ機会があれば書いておきたいなとは思っています。

 

そんな感じで、今までやってこなかった要所の感想を今回は書きました。これまでは書くならしっかり書きたいという思いから、ああいう文章の形をとってきたんですが、それが原因で色々ブログ書けなくなっていたりもしたので、今後はこういう形でも思ったこと、感じたことを適度に出せればなと思っています。他にもまだ書きたい話とかあったんですが、さすがに長くなってしまうので、次回に分けます。たぶん。近いうちに書ければいいなとは思います。あと記事のタイトルはとりあえず適当なんであとで変えるかも知れません。たぶん。