テレビアニメED10選 2020

今年もこの企画に参加させて頂きます。放映季順、他順不同、他意はありません。敬称略含む。視聴した作品からのみの選出で、選出基準はいつもと同様 「とにかく好きなED」 です。

 

恋する小惑星 / 夜空

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アンニュイな表情、些細な仕草。そのすべてが感傷的で少女たちが抱く心情を浮き彫りにしてくれるようでした。どこか遠くを見据える視線は過去へのものなのか、それとも。そんな風に思えるのはどこまでもこのフィルムが本編と地続きであったからなのだと思います。終盤で描かれる芝居も素晴らしく、そういった一つ一つのカットの良さも含め何度も繰り返し観てしまったエンディングです。みらとあおの信頼関係、その結晶のような映像美でした。

関連記事:『恋する小惑星』のEDについて - Paradism

 

Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア- / Prover

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おそらく今年一番といっていいほど心に染みたエンディング主題歌。圧倒的な空気感とイントロに置かれる単音の心地よさは各挿話の幕切れを美しく彩っていました。「踏み外したあなたでさえ手離さないように」という一節に伴い上げられるギルガメッシュの視線、その後ろに描かれる人物たちの各々の生き様がフラッシュバックしていくような見せ方には胸を熱くさせられました。エルキドゥが一人だけ逆光(下手向き)なのもとても物語的。田中将賀さんの絵(表情)の良さも含め、このエンディングがあったからこそ毎回感傷的になれたような気がしています。

 

プリンセスコネクト!Re:Dive / それでもともに歩いていく

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美食殿のなんてことのない平凡な一日を映像へ落とし込んでくれたことがとても嬉しかったです。朝起きて、挨拶を交わし、テーブルを囲んで、出掛けたあとは陽が沈む頃に帰宅する。ですが、そんななんてことのない一日こそが彼女たちにとっては掛け替えのないものなのでしょう。弾む表情もあれば憂う表情もある、想い想いのものを秘めているのは相変わらずで、けれど秘め切れないものも一つ。大切なもの、大切な人を大切だと静かに訴えたとても美しいエンディングフィルムでした。『この素晴らしい世界に祝福を!』でもそうでしたが、金崎貴臣監督はこういった映像を演出されるのが本当に上手ですね。

 

かくしごと / 君は天然色

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聴きなれたナンバーにコントラストと彩度の高い画面。どこか懐かしいようで新鮮な空気が漂うのは音楽と映像のマッチもさることながら、本編の軸に描かれた物語を高い濃度で再現したからなのだと思います。オープニングの映像とは違い、どちらかと言えば過去よりも未来向き。走る姫と可久士が "ある意味" で再会するまでの物語であり、懐かしい思い出にもう一度二人が触れるまでの過程を見事描き切っていました。ワンポイントで歌詞をプロップ化したり、ワンカット毎が画になるものばかりなのも素敵です。最後は家族3人で帰路へ。そんな締め方も本作らしく、これからの彼らに想いを馳せられることまで含め本当に素晴らしいフィルムでした。

 

おちこぼれフルーツタルト / ワンダー!

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POPな楽曲に可愛いSDキャラ、そしてフェティッシュなカットの数々。細かい音ハメなども心地よく、観ているだけでつい笑みがこぼれてしまうような映像が大好きでした。楽し気でありながら、最後はスッとテンションを落としてネズミ荘での温かみ、関係性を感じられる締めも良いですね。またコンテ演出、作画監督、原画を担当された川村幸祐さんの絵の良さは圧巻。少女性と艶やかさの兼ね合わせが本当に堪りません。氏が参加された作品で言えば『お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ』OPを思い出したりもしました。

 

ご注文はうさぎですか? BLOOM / なかよし!○!なかよし!

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不思議の国のアリスをモチーフに据えた世界観をチマメ隊が巡るフィルムスタンス。その中で描かれる絵の良さ、ライティング、撮影の良さにとても引き込まれました。チノが心深くに抱いているかも知れない心情と歌詞、映像とのシンクロも素敵で、なんだか少し感傷にも浸れる(彼女たちの心に触れられたような気がする)のも嬉しかったです。随所に散りばめられた可愛らしさを上げれば切りがなく、徹頭徹尾『ご注文はうさぎですか?』らしさを感じられるエンディングでした。最後のラテアートが毎話変わるのもサプライズがあり好きでした。

 

呪術廻戦 / LOST IN PARADISE feat.AKLO

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ディスコチックな音楽に合わせ登場人物たちが踊る、本編とはまた違う一面や雰囲気を垣間見れるのがこのエンディングの素晴らしさです。ステップの軽やかさ、綻ぶ表情、こちらまで身体を揺らしたくなる数々の映像はアニメーションの楽しさを今一度思い出させてくれる力がありました。ラフタッチな作画がそのままスカッシュやおばけのような表現に生かされ躍動感が膨れ上がるのも感動に拍車を掛けます。線を観る楽しさまで感じられるのが本当に堪りませんね。スタイリッシュなようでポップ。実写畑の長添雅嗣さんがコンテ演出というのも驚きでしたが、一人原画をされた五十嵐祐貴さんの作画の素晴らしさには改めて打ちのめされました。

 

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 / NEO SKY,NEO MAP!

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本編で降りし切った雨が上がっていくような情緒的な映像。新たな予感と少女たちがその一歩を踏み出す瞬間を切り取っていくような楽曲の素晴らしさ。そんなフィルムを構成するなにもかもが感慨と感動に満ち溢れた本年屈指のエンディングです。作画を担当されているめばちさん特有の絵の質感とレイアウト、ライティングの良さ*1が、彼女たちが歩むこれからの物語までを視せてくれるのが本当に大好きでした。イントロの入りも格別で、このエンディングがあったからこそ本編の物語がより美しく彩られたのではないかなと思います。


戦翼のシグルドリーヴァ / サヨナラナミダ

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クラウディアが一人歩んできた道を辿るような映像の情感。灯す火がどこか心細く映ったのは本編を観れば少しばかり納得の出来るものでした。赤い糸の先にあるのは運命の待ち人か、もしくは宿命か。いずれにせよ、あなたの手を握りその身に心を寄せてくれる人たちが今はいる、だからーー。まだ本編を観終えていないので断言できることは多くありませんが、そんな風に物語的なことを強く考えさせてくれるエンディングだったと思います。歩く芝居の速度、揺れるワンピースの質感がさらにフィルムを情緒的にしていたのもグッと来てしまうところ。コンテ演出、作画監督、原画を担当された大野仁愛さんの本編とはまた違ったデザインの作画も素晴らしく、初めて観たときは思わず息を呑んでしまいました。

 

アサルトリリィ BOUQUET / Edel Lilie

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疾走感溢れる楽曲、その一音一音に合わせるよう次第にテンションを上げていく構成が堪らなく好きでした。圧倒的な絵の良さと情報量の多さ。命を賭し戦う少女たちの一瞬の輝きを一つ一つ映像に綴じこめていくような演出の良さは筆舌に尽くせません。少女性と陰鬱で感傷的な空気、そんな相反するようで合致する質感がこの映像には詰め込まれていたと思います。『恋する小惑星』に引き続きディレクターを担当されたのは中山直哉さん。レターボックス、シネスコサイズを生かしたどこまでもエモーショナルな映像は、まさしくらしさなのだろうと思います。

 

以上が今年のED10選となります。今年はOPより大分悩みましたが、終わってみれば例年通り自分の好きが詰まった選出になりました。本編とはまた違う魅力の詰まった短編アニメーション。それでいて物語により深くまで潜らせてくれるものがあったり、楽しさを詰め込んだものがあったりと、たくさんの感情をもたらしてくれるエンディングって本当に素敵です。最後に、関わられた全ての方々に感謝を。今年も一年、素敵な映像体験を本当にありがとうございました。

*1:視線誘導が余りに決まっている...!