最近観たアニメの気になったこととか4

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『やくならマグカップも』3話。全体的にシリアスな空気感の中で話が進んでいく回でしたが、こういったロングショットで登場人物たちの中に流れている時間を共有させてくれたのが凄く良いな、と感じました。奥から手前に歩いてくる二人、他愛もない会話。緊張感のある話の中だからこそ、このカットがより印象づく、みたいな。

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シリアスなパートでもロングショットが挟まれます。カメラ位置が低めなのも相まってか、ひっそりと彼女たちのやり取りを覗くような質感がこの回にはありました。ライティングも印象的で、逆光も多かったり。けれど、その中で浮かび上がる色合いの濃さが、彼女たちが抱いていた本音を浮き彫りにしてくれるようで、観ていてとてもドキドキさせられました。物凄く丁寧で、感情の一つ一つを拾い上げてくれるような台詞回しを後押しするよう構成される映像。繰り返し描かれる同ポのカット、トンボのモチーフなどが彼女たちのほんの少しの変化を彩ってくれていたのも素敵でした。

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『やくならマグカップも』4話。お茶漬けを掻き込む芝居。熱くて茶碗を持つ手と指がまばらに動いたり、掻き込む際の手首より上の動きがより一層、美味しそうに食べる様子を描いてくれていたのが良いなあと。それこそ美味しそうに食べている父、という一つの描写が今回の話の中では一つ軸になっている感じもあったので、姫乃自身の心象としてもここでこういう芝居が描かれた意味合いはとても大きく感じられたのがなんだか嬉しかったです。

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スーパーカブ』4話。感情的な芝居があまり目立たない小熊でしたが、アルバイトの日々を重ねていくうちに少しずつ相手側の先生とも打ち解けていく様子が描かれていたのが凄く良いなと感じました。ダイジェストで描かれたシーンではありましたけど、最初は先生が資料のチェックをしている間、ずっと横で立ち尽くしていた小熊が校舎の外で待つようになっていたり。きっと「外で待っていてもいいですか?」とか聞いたのかなとか、その時も少し子供っぽく足をぱたぱたさせていたりとか。次第に笑顔がふえていったり、台詞や明確な描写がなくてもその間に起きていたであろう会話や感情が想起できるシーンであったことがとても素敵だなと思いました。

 

スーパーカブに出会ってから彼女を取り巻く環境はどんどん変化しているように見えますが、そうして描かれた4話までの時間の流れを圧縮して、再演していたのがこのシーンでもあったのかなとも感じます。

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『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』3話。本当は末晴のことが好きなのに、それでもこれは彼のためだと別れの切っ掛けを作り出した黒羽の感情が滲み出るような芝居。握る手の力み、重たく踏み出す一歩目の芝居。重心がまだ後ろに残るように爪先が先に浮く瞬間がとても感傷的で愛おしく、切なかったです。表情の良さ、ここはスローで。情感たっぷりに、後ろ髪が引かれるように、それを切り裂く手のアクション感まで含めて。もう本当に堪らないな、という気持ちにさせられます。

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同上シーンのラスト。振り絞って出した末晴への最後のエール。「私、みてるから」の力強い言葉に合わせるようハッキリと描かれた口元の芝居、その前に一度大きく描かれた瞬き、そのタイミングまで含めてとても感情的です。瞬きの芝居について思うことは以前の記事でも一度書きましたが、自分の中にあるそういった芝居の大切さを再度確かめられたような気がします。

 

 渡り廊下のシーンであったことも含め影中作画で描かれていたのもまた、エモーショナルな質感に拍車をかけていたと思います。前述した『やくならマグカップも』 3話とも同様、時に影とは私たちの心奥底にある感情にまでその手を差し伸べてくれるのだから面白いですよね。その他にもライティングが光るシーンや階段を駆使した演出、素敵な芝居が多く、話数全体でみても本当に素晴らしかったです。余談ですが、文化祭でバンドのライブシーンと言えば思い出してしまうのは『涼宮ハルヒの憂鬱』26話「ライブアライブ」。オマージュなのかなあと思えたことまで含め印象に残る回でした。