テレビアニメED10選 2021

今年もこの企画に参加させて頂きます。放映季順、他順不同、他意はありません。敬称略含む。視聴した作品からのみの選出で、選出基準はいつもと同様 「とにかく好きなED」 です。

 

約束のネバーランド Season2 / 魔法

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旅をするムジカとソンジュの日々の営みが美しいものであることを謳うようなエンディングフィルム。本編とは違いそこに描かれていたのは彩鮮やかな世界の在り様でした。どこか刹那的で、ふれれば消えてしまいそうな質感を伴いながらではありますが、残酷な世の理(ことわり)の中でそれでも生きていくことを後押ししてくれるような風合いを感じられたのは、本作を視聴していく中である種大きな支えにすらなっていたと思います。鬼であろうと、人であろうと。生きている。それを克明に記していた足元のカット、その靡きの作画と振り向き芝居の感傷性には未だ言い知れぬ感情を抱いています。それだけでも絵になる絵画的なタッチのBGやライティングも素晴らしく、定期的に観返したくなるエンディングです。楽曲も透明感があり、素敵でした。

 

参考記事:『約束のネバーランド season2』のEDについて - Paradism

 

ゆるキャン△ SEASON2 / はるのとなり

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日が暮れ、家路につく。ただそれだけの風景を描いているに過ぎないエンディングですが、そこに本作のテーマ性が内包されているからこそ、きっとこんなにも感傷的になれてしまうのでしょう。日々の生活の中で私たちも普遍的にふれていたはずの行為。ですがその中にこそ季節を感じることの出来る幾つもの景色があり、出来事があったりする。例えばそれは陽の浅い冬だからこそ眺めることが出来る夕刻の夜空であったり、浮かぶ吐息の白さであったり、透き通るような空気の質感であったり。それをとても自覚的に、けれどこの世界で生きるなでしこたちにとってはどこか無自覚的に描いてくれているのが本当に素敵だったなと思います。離れている場所で同じ夜空を見上げるというのも良いですね。どこか一期5話を思い出したりもしました。空の表情の多さにも魅了されたり、あとはもう佐々木恵梨さんの曲が本当に好きなんだよなとか。『ふゆびより』に続き、特に今の季節はたくさん聴いてしまいます。

 

さよなら私のクラマー / 悔しいことは蹴っ飛ばせ

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ただ直向きに好きなものと向き合ってきた少女たちの、その青春性の一片を感じられることに毎話とてもグッとさせられました。もちろん本作が取り扱うサッカーという競技に留まらず、どんなものでもそれは同じなのでしょう。それでも彼女たちには選んだものが在る。幾つもの服装に身を纏っていく希の、その最後がかのユニフォームであったことはどこまでも彼女がサッカーというスポーツを愛していたことの証左にすらなり得ていたはずです。差し込まれるサッカーの競技カットではロトスコープを用いたようなリアル度合いの高い作画。これがもう本当に堪らないというか、まさしく月日を費やしそこに賭けてきたからこそ得られる洗練された動きなんですよね。作画的な快楽ももちろんありますが、それ以上に想いだったりなにかしら宿るものがある様に感じられるというのは、やはりとても素晴らしいなと思います。

 

ゴジラ S.P<シンギュラポイント> / 青い

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少しさばさばした感じの、けれどその中に強く残る少女性と可愛らしさ。一つ一つの芝居が彼女という人の人間性を表しているようで、好きだったなあと。本編では恐怖の対象としても描かれていた怪獣たちですが、銘からすればそれと同時に興味の対象でもあって。だからこそ若干、可愛らしくマスコット的な風合いで怪獣たちが描かれていたりするのがなんだかとても良いなと思ったりしました。バンドテイストの楽曲も最高。あとはやはり鈴木典光さんの作画の素晴らしさでしょうか。ありふれた言い方をすれば、奥行きがあり、実在感があり、それでいて人間味のある人物作画。エフェクトは至極。どこを切り取っても一枚の絵としての強さがある。ここに関しては詳しい方がどこかできっと語ってくれているでしょうから、多くは語りませんが。堪りませんよね。

 

シャドーハウス / ないない

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ダークな雰囲気もありつつ、音楽の楽しさ、自由さを散りばめたような楽曲。だからこそ映像もこれだけテクニカルなことが出来るというか。一音一音へのアプローチがとても面白く秀逸で、毎回このエンディングを観るのがとても楽しみでした。シャドーと生き人形たちの関係性を暗示するような見せ方、世界観の反転など作品の根幹にふれるようなモチーフも多く、話が進むにつれ少しずつ謎が解けていくのもとても良かったです。ライティングも良く、フィルム全体の質感が凄く自分好みだったなと思います。

 

ぼくたちのリメイク / 可能性

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恭也の中に残る想い出、映像が流れだすように始まるフィルムロール。部屋のBGなどが次々に映し出されるのはどこか一昔前の美少女ゲームオープニングやPVの風合いを感じさせますが、きっとそれは彼が歩んできた道のりを今一度刻み込むためでもあったのでしょう。四季が描かれていたのはその証左でしょうし、亜貴たち3人をカメラで追いかける様なファインダー越しのカットも、そういった演出ととても地続きなのだと思います。くわえて少女性を強く意識させられるような可愛らしく、まるっとしたタッチの人物デザイン・作画が本当に大好きでした。個人的には瞬きの芝居・作画のタイミングがツボ。コンテ演出作監など手掛けた市松模様さんって、一体どなたなんでしょうね。

 

かげきしょうじょ!! / 星の旅人 etc...

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役者として青春を捧げる少女たちの力強さ、しなやかさ、秀麗さ。その全てがこのフィルムに詰まっていると言っても過言ではないでしょう。楽曲のテンション感も合わさり、きびきびと歩く芝居、スカートの靡きすらも凛々しく映ります。絵の秀麗さは言わずもがな。観ているだけ、聴いているだけで胸が熱くなるエンディングです。加えて、その回の主役を担った少女の名が毎話トップクレジットとなり、楽曲の歌唱を務めるという徹底ぶりには感動すら覚えました。歌詞もその人の感情に肉薄したものとなったりと、どこまでも物語の延長上にこのエンディングがあったことが凄く嬉しく、頼しかったです。毎話幕切れとともにこの楽曲のイントロが流れると背筋を伸ばしてしまうような、そんな緊張感さえありました。

 

真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました / みんなおなじ

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爽やかなイントロと早朝の風景に心を鷲掴みにされてしまったエンディング。戦乱の世の中であっても人々は暮らしていくし、細やかでも穏やかな時間を過ごしていたりする。そんな当たり前の風景を本編から地続きに、けれどさらに美しく切り取り提示してくれたことがとても沁みました。ラストカットでは落ち切った砂時計が映り「これひっくり返してくれたらすごく良いな」などと考えていたのも束の間、まさしくその芝居が入った時には少し泣いてしまいそうになりました。刹那的ではなく、この風景がいつまでも続いていくと思えるような。そんな未来を想像させてくれる映像だったことが何より大好きです。余談ですが、このエンディングが切っ掛けでJyochoさんの曲をディグるようになったりしています。

 

SELECTION PROJECT / Only one yell

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ほんのり香るシティポップテイスト。ですが楽曲はどちらかと言えば壮大さもあり、絵の美しさと絶妙にマッチしているのが大好きなエンディングです。可能性に満ち溢れた少女たちが関係を築き、足跡を残し、何者かになっていく物語。girls be ambitious。それをグッと凝縮したようなフィルムでしたし、真っ白な衣装、透き通るような青空はまさしくその代名詞だったのだと思います。BGも作画で描かれているようで、画面の統一感、色合いも類い稀さがあり抜群です。衣装のデザインも少しづつ違って "個" を意識させられるのがとても素敵。けれど回ごとに違いがあったサビ前での手を伸ばす芝居、人物は最終回で一つに。皆でここまで歩んできたことを強調する演出が感動的でした。

 

古見さんは、コミュ症です。 / ヒカレイノチ

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孤独と焦燥。過去の古見さんを描きつつ、今に至るまでの一歩を描き出していたのがとてもエモーショナルで素晴らしかったなと思います。走る古見さんを描くというのはオープニングからも繋がっていて、彼女の心が身体を追い越していく様をまざまざと見せつけられているようでグッと胸が締めつけられます。教室の扉、その一線を跨ぐ瞬間を捉えるために真俯瞰で撮られたカットは特に素晴らしかったですね。回を経るごとに友達が増えていくのは粋な計らい。それとこれは憶測ですが、オープンエンドともに古見さんの幸福を願う人たちがそれぞれを手掛けた感触が各々のフィルムに残っていて、なんだかこちらまで幸せになってしまいました。映像に体温が残っているというか。古見さん、愛されてますね。

 

以上が今年のED10選となります。OPに引き続き今年はすんなり決まったような気がしています。終わってみれば例年通り、自分の好きが詰まった選出になりました。本編とはまた違う魅力の詰まった短編アニメーション。それでいて物語により深くまで潜らせてくれるものがあったり、楽しさを詰め込んだものがあったりと、たくさんの感情をもたらしてくれるエンディングって本当に素敵だなと改めて。最後に、関わられた全ての方々に感謝を。今年も一年、素敵な映像体験を本当にありがとうございました。