『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』5話の演出・再演について

同ポが促す再演への期待。回想で語られたシャルロッテの出会いが現在へと回帰していく映像がとても良く、素敵でした。泣いていた少女と祈る少女を遠巻きに見つめるように前景を立てるレイアウトも憎らしく、この絵を何度も使う理由には今話の主題の一つでも…

『ゆるキャン△』5話のラストシーンについて

*1 なでしこからリンへのオーバーラップ。当たり前と言えば当たり前ですが、これはアニメで加えられたオリジナルの描写です*2。景色を望む二人のバックショットを重ねるトランジションになっていて、その光景はまるで二つの視線 (見ているもの) をも重ねるよ…

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』4話の演出について

ヴァイオレットや周囲に対し、どこか背伸びをしようとするアイリス。2話で特徴的だったのは履いたヒールが原因で足を捻ってしまうシーン*1でしたが、そんな背伸びの象徴も今話ではアップショットで映されることが多く、アバンではさながら彼女の立ち位置とそ…

『宇宙よりも遠い場所』5話の演出について

南極へ旅立つマリの話から一転、めぐみの心情を多分に含んだ話へとシームレスに変遷する物語とフィルムの構成。すっと上手が入れ替わり、話の主体がマリからめぐみへと変化していたことをカット単位で寡黙に伝えてくれる巧さに心がざわつきました。二人の関…

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』3話の演出について

これまでの挿話でも感情的な手の芝居は多く見受けられましたが、今話でもそれは同様でした。「手紙とは呼べない」と言われた際のヴァイオレットの力の込め方や両親と兄のことを語る際に映されたルクリアの手などは特に顕著で、繊細に各々の機微を捉えていた…

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』2話の芝居と演出について

俯きがちな視線、目をそらす仕草と、終始どこか自信のなさを露呈していたエリカ・ブラウン。2話にして描かれたのはそんな彼女の寡黙な物語であり、自身を顧みるための話でした。 それも彼女自身が「自動手記人形に向いていないのは私の方だ」と語ったように…

『スロウスタート』1話の足の芝居、その過程について

おそらくは進学が一年遅れてしまっていることが一之瀬花名の内気な性格に拍車を掛けているのだと思うのですが、それを声色や表情だけでなく、仕草で繊細に描いていくれていたのがとても良いなと思いました。一緒に帰ろうと言ってくれたことに嬉しさを感じな…

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』1話の手の芝居と演出について

輪郭線や反射光・影の多さなど、これまでの京都アニメーション作品を振り返っても特筆して線量の多いデザインと言っても過言ではない今作ですが、その中でも特に印象に残ったのは手の芝居に関してでした。それも感情や想いがその手を動かしているよう感じら…

話数単位で選ぶ、2017年TVアニメ10選

今年のアニメを振り返る意味も兼ね、今回もこちらの企画に参加させて頂きます。 ・2017年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。 ・1作品につき上限1話。 ・順位は付けない。 集計ブログ様:話数単位で選ぶ、2017年TVアニメ10…

『少女終末旅行』5話の音と演出について

ファーストカットで描かれた波紋、そして落ちる水滴。原作が好きなことと、今回のサブタイトルに『雨音』が含まれていたことから、このカットが演出的な伏線になっているのだろうと思えたことは幸運でした。音響への拘りもさることながらイメージとしてこう…

テレビアニメED10選 2017

前回同様、放映季順、他順不同、他意はありません。敬称略含む。視聴した作品からのみの選出で、選出基準はいつもと同様 「とにかく好きなED」 です。 この素晴らしい世界に祝福を!2 / おうちに帰りたい 牧歌的なカントリーソングに本編ではなかなか見れない生…

テレビアニメOP10選 2017

今年もこの企画に参加させて頂きます。放映季順、他順不同、他意はありません。敬称略含む。視聴した作品からのみの選出で、選出基準はいつもと同様 「とにかく好きなOP」 です。 GRANBLUE FANTASY The Animation / GO シルエットを生かした絵と印象的なカット…

『アイカツスターズ!』86話の芝居について

母に認められたいという思いと、太陽のドレスを手に入れなければいけないという重圧にも似た背負い込みから項垂(うなだ)れるよう前に倒れるエルザ。背筋を伸ばし自信に満ち溢れていたこれまでの印象からはかけ離れた芝居に思わずドキッとしてしまいました。…

桜庭ローラというアイドルの像と轍(かたちとわだち)、『アイカツスターズ!』86話について

『涙の数だけ』。このサブタイトルが示していた通り今回もローラにとっては厳しい結果となったアイドルフェス。決して順風満帆とは言えない彼女のアイカツ人生には辛く険しい道のりも多く、ここぞという場面で勝者の後塵を喫してきたその軌跡が度々涙に濡れ…

『Just Because!』10話の影と高揚感の演出について

夜道を自転車で走る際に、並ぶ街灯に当てられ影が前へ迫(せ)り出してくる現象。平たく言えば光源が後方へ下がることで影が前方へ移動しているわけですが、おそらくこの表現をアニメで観たのは初めてだったと思います。本作のリアル度合いに関しては以前の記…

『いつだって僕らの恋は10センチだった。』の長井龍雪節

Q.T.B(クイックトラックバック)から縦パンで被写体をハンディカメラへ持っていくカメラワークの巧さ。青空をアクセントにしたレイアウトと情感の置き方も含めグッとくる長井龍雪さんらしいフィルムを観れたのが本当に嬉しく、堪りませんでした。カウントダウ…

『Just Because!』8話のリアル度合い

目を見張ったのはモノレール内でのワンシーン。カメラは固定で被写体を動かすため前景をスライドさせたり、距離感を出したり、車内のパーツが車体の傾きに合わせ動いたりととても細かいことをやっているように見えますが、それに合わせ三人の身体も若干揺ら…

『魔法使いの嫁』の瞳と演出について

特異な性質を持ち、それゆえに迫害を受けてきたチセ。目元の重線とアンニュイな瞳はそんな彼女を象徴するように気怠いイメージで冒頭から描かれます。また鎖などの強烈なモチーフも合わさることで一層彼女の “不自由さ” は浮き彫りになっていたと思います。 …

藤原佳幸監督の演出・作家性について

『プラスティック・メモリーズ』13話。絵コンテ演出 藤原佳幸。握りあう手。肩を寄せ合う二人をバックショットで映す情感の厚さ。そんな二人をまるで祝福するように昇る陽の光は、まさに藤原佳幸監督らしい “時間と空間” や “キャラクターへの寄り添い方” を…

『このはな綺譚』 5話の距離感、演出について

機織りの少女と柚の邂逅。そのファーストシーンに用いられた俯瞰のカットがとても印象的でした。小屋梁を挟み二人を描くことで、おそらくは関係性の断絶、もしくはその距離感の遠さを描いていたのだと思います。話としても、食事を摂らず機織りを続ける少女…

『夏 ここなの8/31』の広角・魚眼レンズと狭さについて

『ヤマノススメ おもいでプレゼント』present1はここなとお母さんの話でしたが、まず驚いたのは広角、魚眼レンズで映したような画面設計の多さでした。シリーズの中でも広角を意識していると思われるカットはあったと思いますが、一つの話数の中でここまで…

フールズ・ゴールドと物語、そして人 『Re:CREATORS』を語る

本物の黄金と酷似した鉱石、フールズ・ゴールド。これを気に入っている、と語ったのは本作の登場人物である築城院真鍳ですが彼女はその理由を次のように語っていました。 「私がこれを気に入っているのはね… 欲をかいて一喜一憂、こんな “くだらないもの” の…

『NEW GAME!!』8話の芝居について

一度パチッと瞬きをしたあとに、スッと瞼が沈むこの表情芝居に胸をグっと掴まれました。前後の間やタイミングも凄く好きですが、一番の理由は青葉が紅葉との関係性を気にする素振りとして、とても良い表情づけだと感じたからです。観ての通り、派手な作画で…

『メイドインアビス』の縦の動き・レイアウトについて

『メイドインアビス』はアビスと呼ばれる縦向きの穴の底に向かい冒険をする話ですが、こういった崖・絶壁を下っていく芝居へ贅沢にカットを使う、またそれを縦方向の俯瞰で撮ることに拘る、みたいなポイントは本作の世界観やその奥行きの深さを伝えることに…

『アイカツスターズ!』62話の演出について

まず印象的だったのはこのシーン。快心のライブを終えたローラとこれまで支えてくれたアンナ先生とのやり取りには込み上げるものがありました。「随分と進歩した」という先生の台詞を噛み締めたローラの表情は非常に感情的で、それはこれまでもこの作品がそ…

『エロマンガ先生』8話のフレーム内フレームと演出について

部屋から出ることが長い間出来なかった紗霧。親族との別れと心の傷が大きな要因であることは間違いないのだと思いますが、おそらく彼女は兄であるマサムネと向き合い、相手の気持ちを知るのが怖かったのだとも思います。自分に芽生えた恋心を受けとめて貰え…

石浜真史さんの映像と演出について

石浜さんのオープニングやエンディングの見せ方・演出に関してなにかしら書いている方は多いと思いますが、自分の中でも定期的に印象をアップデートしておきたい気持ちが強かったので今回備忘録も兼ねて書くことにしました。特に今期では『GRANBLUE FANTASY …

テレビアニメED10選 2016

前回の記事と同じ基準。放映季順、他順不同、他意はありません。敬称略含む。視聴した作品からのみの選出で、選出基準はいつもと同様 「とにかく好きなED」 です。 この素晴らしい世界に祝福を! / ちいさな冒険者 牧歌的な主題歌とそのテンポに合わせたカッテ…

テレビアニメOP10選 2016

今さらですが昨年放送の作品の内、観るつもりだったものは大まかに観たので今回も更新します。放映季順、他順不同、他意はありません。敬称略含む。視聴した作品からのみの選出で、選出基準はいつもと同様 「とにかく好きなOP」 です。 大家さんは思春期! / S…

『小林さんちのメイドラゴン』13話 最終回 いつかの未来と今について

動揺や不安。そういった負の感情への煽り方が本当に巧かったと思います。トールが部屋を出ていく時に始まり、ベランダで空を煽ぐ姿への閑静な繋げ方、カンナが部屋へ戻るとグッと画面の明度が下がり影面積の多い作画になり、音も消える。これは一話や二話、…