『空の青さを知る人よ』の演出と青さについて

長井龍雪監督作品におけるパキっとした影づけ、目にかかる影、影中の表現。それは往年の作品から続く “長井監督らしさ” でありながら、その中で描き続けてきた物語の象徴としてもその存在を印象づけてきました。鬱屈した感情、心に溜まるもの。それらをライ…

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』10話の演出について

振り返れば強烈なファーストカットだったと思わずにはいられない枯れ木のイメージショット。以降、度々インサートされる落ち葉のモチーフは小説『最後の一葉』を連想させ、余命幾ばくもない母親の現状を静かに捉えていました。なにより、落ち葉でおままごと…

『22/7「あの日の彼女たち」』day01 滝川みうの演出、芝居について

先日、久しぶりに『あの日の彼女たち』を観返したわけですが、映像から溢れ、受け取れるものの多さに改めて感動させられました。環境音を使いBGMをなくすことで、そのシーンを特定の感情へ誘い込むことをしない。けれど、BGMがないからこそ受け手へ緊張感が…

走り続けた貴方達へ贈る、祝福のダイアローグ――『天気の子』を観て

先日公開された新海誠監督最新作、『天気の子』。これまで新海監督が手掛けられてきた作品群と違っていたのは、まるでどこまでも走り抜けていくような迷いのなさでした。想いの変遷、機微、物語の転換ーー。その都度で描かれた雨粒の音、波紋の違いが差し示…

『可愛ければ変態でも好きになってくれますか?』1話の演出について

ダッチアングルや広角レイアウトなど凝った画面が多く印象に残った1話。平凡な日常の一コマでも角度をつけ、位置関係、奥行きに拘ればそれだけで “何か” が受け手に伝わっていくことを知らしめるようなフィルムになっていたと思います。もちろん、どれだけの…

『盾の勇者の成り上がり』22話・25話の終盤シーンについて

以前から触れたいと思っていた挿話がありました。それが22話終盤のシーン。「尚文様は居なくならないですよね?」とラフタリアが尚文に問いかける場面でした。 ラフタリアが抱いていたこういった感情はこれまでも何度か描かれ、話が進むごとにその深刻さは増…

『ひとりぼっちの〇〇生活』の演出、横構図について

ついにソトカとぼっちが友達としての関係を明白に築いた第10話。遡れば第4話の再演となった今回の話ですが、その際の会話を描いたシーンがとても素晴らしく胸を打たれました。かつてぼっちがソトカに向け手裏剣を投げた時とは位置が入れ替わる (ソトカが上手…

『天気の子』予報を観て

先日公開された新海誠監督最新作『天気の子』の予報第二弾。キャッチーな見せ方を取り入れつつ、楽曲に同期していくカッティング、添えられるモチーフの数々など節々に新海監督らしさを感じられたのがとても良く、胸を打たれました。『言の葉の庭』で深く掘…

『八月のシンデレラナイン』7話の演出について

感情を表に出すこと、自分らしく居ることが難しい二人だからこそ寡黙な演出が眩しく映えた今回の話。倉敷舞子の表情変化や、被写界深度、レイアウトを活かした九十九伽奈の視線の描き方など他の話数とはまた一味違った見せ方が光っていました。そんな中、描…

『ぼくたちは勉強ができない』OPについて

静かな朝から始まるオープニングフィルム。静寂な曲調の中に織り交ぜられるフェティッシュなカットが非常に素敵で堪りませんでした。女性特有のシルエットに含まれる艶美さと可愛らしさ。それだけでもグッと引き付けられてしまう魅力に溢れていますが、撮影…

『モブサイコ100Ⅱ』7話のラストシーンについて

自分自身が “何者” でもなかったこと、特別な何かになったつもりで、その実なに一つ成長してはいなかったことを突き付けられた霊幻。そんな彼の帰路を映した終盤シーンが本当に素晴らしく、モブとのやり取りとそれを切り取ったカメラワークには強く胸を震わ…

『エロマンガ先生』OVA1話の芝居と演出について

おそらくはTV版9話以来となった山田エルフ主役の回。普段の高飛車な振舞とは違い、本心に触れられてしまうとどうしようもなく戸惑ってしまう彼女の心情が丁寧に描かれていて非常に胸に迫るものがありました。特にAパートは本心をぶつけられないエルフの寡黙…

話数単位で選ぶ、2018年TVアニメ10選

今年のアニメを振り返る意味も兼ね、今回もこちらの企画に参加させて頂きます。 ・2018年1月1日~12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。 ・1作品につき上限1話。 ・順位は付けない。 集計ブログ様:話数単位で選ぶ、2018年TVアニメ10…

テレビアニメED10選 2018

前回の記事同様、放映季順、他順不同、他意はありません。敬称略含む。視聴した作品からのみの選出で、選出基準はいつもと同様 「とにかく好きなED」 です。 ヴァイオレット・エヴァーガーデン / みちしるべ 流れる月日も意に介さず、同じ場所に留まり続けた少…

テレビアニメOP10選 2018

今年もこの企画に参加させて頂きます。放映季順、他順不同、他意はありません。敬称略含む。視聴した作品からのみの選出で、選出基準はいつもと同様 「とにかく好きなOP」 です。 宇宙よりも遠い場所 / The Girls Are Alright! 回転し、動き出すフレームを物語…

『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』11話 終盤シークエンスの芝居と演出について

麻衣さんとかえでの楽しげな会話も束の間、続くシーンの冒頭でガラリと変化した空気と質感には思わず息を飲みました。例えるなら、ここまで平熱を保ち続けていた*1フィルムがついに熱を帯びだしたような。ガラス越しに見つめる自身との対峙、その視線を捉え…

『SSSS.GRIDMAN』9話の演出について

不穏な空気を感じさせる警報音。多くの意味合いを含んでいたであろう信号と踏切。それは音響の側面とセルによって描かれた数多くのプロップ・情報量から世界観を描き続けてきた本作の徹底したスタンスの延長でありながら、新しい予感を生み落とすモチーフと…

『22/7 「あの日の彼女たち」』day08 藤間桜の演出について

独特な間合い、印象的なカッティング、そこに託された心情と関係性。少女たちの内面を寡黙に映すことを美徳とするかのような今シリーズの演出スタンスは健在でありながら、day04佐藤麗華編で描かれた関係性と対となるような見せ方で構成されていたのがとても…

『色づく世界の明日から』3話の演出について

Aパート冒頭のシーン。ここまでの話の中でも何度か使われたモノクロの演出ですが、そこから繋がる対比、その実際的な色味を見せるための構図・レイアウトにとてもドキっとさせられました。瞳美の主観としてモノクロに映るステンドグラスを映したあとに現実で…

『SSSS.GRIDMAN』2話の宝多六花に寄る演出について

グリッドマン同盟なるものの発足の傍らで鬱々とした表情を見せる少女、宝多六花。一話における戦闘の影響でクラスメイトが居なかったものとされてしまったことへのショックは隠し切れるものではなく、その心情を汲み取るレイアウト、陰影、距離感が非常にう…

『22/7 「あの日の彼女たち」』の演出について

光、音、レイアウト、芝居、台詞、時間。その枝葉まで如何なくコントロールされた繊細なアニメーションに衝撃を受けた『あの日の彼女たち』。二分にも満たない短編で描かれた本作は少女たちの感情を寡黙に語らない一方で、映像の側面から各々の内面・関係性…

劇場版『若おかみは小学生!』の芝居・身体性について

表情変化や歩き芝居に始まり、抱き寄せる芝居、ものを運ぶ芝居、屈む芝居、掃除をする芝居など、おおよそ生活の中で見られるであろうアニメーションを徹底して描き出した今作。日々人が営む中で起こす動きを描くというのは非常に難しいことですが、それを終…

『ヤマノススメ サードシーズン』10話の演出について

7話から描かれ続けてきたあおいとひなたの擦れ違い。おそらくは、あおいの成長、交友関係の広がりに対して “遠ざかっていくような感覚” をひなたが覚えてしまったことが原因の一つになっていたのでしょう。どこへ行くにしても常に傍にいた存在が少しずつ “自…

『ヤマノススメ サードシーズン』2話の演出について

*1 特徴的で可愛らしい表情、フォルム、皺のニュアンス、デフォルメ。挙げれば切りがないほどに素敵な作画を見せてくれた本話でしたが、少しアンニュイな空気を抱えた今回の話にとっては、あおいの心情に寄り添った演出がとても良い補助線を引いていて話に引…

『アイカツフレンズ!』13話のラストシーンについて

月に向かい手を伸ばし「まだまだ遠いな」と呟くみおをエモーショナルに切り取ったラストシーン。月灯りに照らされる質感がとても良く、モチーフやレイアウトなどカレンやラブミーティアに交錯した感情を抱いていたみおの内心をとてもよく描き出してくれてい…

『HUGっと!プリキュア』16話の演出について

全てにおいて素晴らしいとしか言いようがなかった本話ですが、まず最初に目を奪われたのは構図やレイアウトの良さでした。特に日常パートでの人物配置などは素晴らしく、それぞれの芝居や表情を一つの画面に乗せることで、その空間でのやり取りを楽しく生き…

『こみっくがーるず』と徳本善信さんの演出について

*1 1話序盤から目立っていたロングショットでの芝居。静かに始まる導入と各々が寮へ集まる過程をじっくりと描いていたのが素敵で、とても引き込まれる演出だったと思います。fix、長回しで遠くから二人を見守るようなカメラ位置は、さながら下校する二人の時…

『リズと青い鳥』鎧塚みぞれの仕草、掴むことについて

みぞれが髪を掴む仕草が描かれたのは、劇中でおそらく9回程*1だったでしょうか。寡黙にして映像*2で語ることが主体とされた本作にあって、彼女のこの癖は強く印象に残り、決して多くを語ろうとはしないみぞれ自身の感情を映すものとして重要な役割を果たし…

『リズと青い鳥』と微熱について

冒頭、鎧塚みぞれを中心に据えた描写から始まった本作は徹底して内面を覗き込むような映像で構成されていました。浅い被写界深度、表情を伺うようなレイアウトの数々は言葉ではなく映像ですべてを物語るように繋がり、その瞬間瞬間にみぞれがなにを思い、考…

『宇宙よりも遠い場所』11話の演出と、小淵沢報瀬の視線について

日本と南極の中継、その橋渡しを描いたアバン。そこで起きた日向を取り巻く不穏な出来事に誰よりも敏感に視線を傾けたのは他でもない小淵沢報瀬その人でした。なにかを堪えるような日向の仕草。小さく漏れる溜息。そんな些細な変化さえ、きっと報瀬にとって…